明るい幽霊

 「まあー、先生お久しぶり」
 「え、今、アメリカからですか。お懐かしい」
 「ビッグニュースです。 あの二人結婚してしまいましたの」

  どこの司法書士事務所へ行っても、こんな難しい事件を扱ったことがないと言われ、
 困って大使館に相談したら紹介されましたとUさんが私共へいらしてくださいました。
 渉外事件を多数扱っておりますので、別にたいしたことではなく、Uさんのご主人の
 相続事件はすぐ片付いてしまいました。それ以来Uさんは、何かとお声をかけてくだ
 さるようになりました。
  相続した都内の高級住宅地にある土地と家を売って、アメリカに移住したいとのご
 希望でしたので、知り合いに声をかけたところ、二人目の方が家を下見にいらして即
 決。玄関を入った途端、この家を買おうと決めたのだそうです。
  
新しい住人は、独身の好青年。縁側で洗濯物を干しながら、「 俺もとうとう家を持
 った 」と感慨にふけっていると、後ろに人の気配がして振り向くと、下見に来た際に
 写真で見たUさんのご主人が立っていました。Uさん曰く、「主人は他にも家を持っ
 ていましたが、あの家が大変好きでした。きっとどんな方が買ってくださったのか見
 に来たのですよ。」

  「幽霊、こわーーーーい。」と、新住人氏に聞いたところ、気持ち悪いとか、怖い
 とか、そんな感じが全然しないそうです。 きっと昼間の明るい幽霊なのかもしれま
 せん。

  
その幽霊さんには、可愛がっていた美人の姪御さんがいます。 花形職業について
 国際的に活躍しておられ、明るくて、友人が多く、いつも楽しさを周囲に撒き散らす
 素敵な女性です。 なんと、ミスター新住人が、彼女に一目惚れしてしまいました。

  
あのミスターがどのようにして彼女を獲得したのかは謎です。 きっと幽霊の力が
 大きかったと妙に納得しながら、Uさんの結婚報告を聞きました。



 

 

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