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素敵な女性
「私は、グレーのワンピースに白いバッグを持って改札口に立ってます。」との電話
に、駅まで迎えに降りていきました。今時の若いお嬢さんにしては、地味な感じで、髪
を後ろに纏め涼しげ、きれいな睫毛がノーメークの顔に存在を強調してます。用件は、
おじい様の遺言書があるから来るようにとの連絡が弁護士からあり、不慣れなことなの
で一緒についてきて欲しいということでした。
彼女は、相続問題で骨肉の争い、それも20年にもわたって延々と続いている、怨念の
一族の一員です。広い土地を分割して一族が固まって暮らしているので、余計争いが深
刻になってしまったようです。彼女の父は既になく、親1人、子1人なのに、後ろめたさ
を残して留学したそうです。現地でやりたい仕事が見つかりそのまま就職して、今回が
社会人になって初めての帰国でした。
私は、この怨念の一族とは、長いお付き合いですが、いつもどうしてこれほど名門の
エリート集団が、かくも醜く争うのか不思議でした。初めてお会いするこのお嬢さんに
も、血族のイメージがありますので、少し緊張しておりました。年のころ25、6才、
お若いのに落ち着きがあります。弁護士とのやり取りも卒がなく、聞かれたことだけを
適格に答えて態度がまったく自然。丁寧に弁護士事務所を辞して、エレベーターの中で
言われました。
「額に汗して働いたお金ではないのに。祖父の気持ちはうれしいですけど、争いの解決
が望めないのが悲しいです。」
「私は、明日アメリカに戻りますが、一人暮らしの母が心配です」と。
後日、彼女のお母様にお会いする機会がありました。「素晴らしいお嬢さんですね。」
お母様の答えは、ひとこと「はい!」でした。
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